子どもに関する事件[後編](弁護士 山根大輔)

子どもに関する事件
[後編]

山根先生は虐待の案件にも多く関わられていられると聞きました。虐待事件に多く関わるようになった経緯を教えてください。

前回お話ししたように、映画の影響があって子どもに関する事件に関わりたいという思いがありましたので、積極的に子ども担当弁護士研修のようなものをいくつか受けて学びました。初めは岡山県で弁護士をしていたのですが、岡山県では「モモ」というシェルターに関わらせていただきながら虐待事件を担当してきました。

現在はどのような形で虐待事件にかかわっているのですか。

現在は子どもセンターてんぽという、子どもをかくまうシェルターの運営委員をやらせていただいておりまして、そこを通じて虐待事件に関わるケースが多いです。

子どもセンターてんぽという施設はどのような施設なのか詳しく教えてください。

子どもセンターてんぽというのは児童相談所から漏れた被虐待児をかくまう施設です。児童相談所から漏れるというのは、児童相談所は基本的に18歳未満の子どもたちしか保護できないことになっているので、18歳、19歳の子どもで行き場がない子どもたちの寄り添い活動をしています。子どもセンターてんぽでかくまうことのできる期間というのは基本的に2ヶ月間と区切られています。
詳しくは子どもセンターてんぽのホームページをご参照ください。

具体的にどのような寄り添い活動をされているのですか。

子どもセンターてんぽにつながる子どもはいろいろな繋がり方があるのですが、基本的には親から逃げている子たちです。親から逃げているのですが、20歳まではあくまでも親権者は親ですので、どのように親とつながっていくのか、逆に虐待から身を守るためにどのように親から切り離していくのかを、代理人という立場で関わっていきます。
基本的に弁護士二人という体制で子どもセンターを出るまでの期間を関わっていきます。てんぽを出た後は代理人ではなくなるのですが、場合によっては、出た後もその後の生活の支援という部分で関わっていくこともあります。

相談写真

特に印象に残っている事案があれば教えてください。

そうですね、てんぽにくるような子ども達というのはどの子も本当に壮絶な経験をしているので、どの子も一人ひとり印象に残っています。最近で言えば、てんぽを出た後、遠く九州の方で新しく生活をスタートすることができた子の案件に関わらせていただきました。

虐待事件に関わる上で難しいところはどんなところですか?

子ども担当弁護士というのは、基本的に親対応で親からの歯止め役を担うので、親からはいろいろなことを言われます。ストレスはかかりますが、ぶつかり合っていくのが仕事だと思っていますので、それがその子どものためになるのであればやりがいを感じることができます。そういった部分よりも、弁護士は子どもの代理人という立ち位置、てんぽの職員はてんぽの職員という立ち位置、児童相談所や市役所の方々も関わってくるとそれぞれの立ち位置で、子どもにとってどう対応するのが一番良いか考え意見や判断を言い合いますので、そこの対応の違いをすり合わせていくのがとても難しいと感じています。
子ども代理人の立場は、親からの追跡をシャットアウトしてその子の身の安全を守るのが大前提ですが、出来るだけ子どもの思いをかなえてあげられるように動いています。最近の事案ですと、市役所の立ち位置からは学校の卒業式は危険を伴うため出席させることが出来ないとの判断だったのですが、その子は出席したいという思いがあったので、何とか実現させてあげられるように働きかけ、可能な範囲で実現させてあげることが出来ました。実際にその場に参加させていただいたのですが、その子の嬉しそうな姿を見ることができて、僕としましてもとても貴重な体験をさせていただきました。
なかなか対応が難しい場面もありますが、子ども達からパワーをもらえることも多いです。

相談写真

実際に身近に虐待の疑いのあるような場面を目撃した場合、相談する施設等あれば教えてください。

まずは、原則としては児童相談所に通告というのが取るべき手段だと思います。その他には、神奈川県弁護士会の子どもの委員会に相談していただければ、児童相談所とも関わっていますので、委員会から児童相談所に働きかけることもできます。神奈川県弁護士会のホームページ等で確認して頂き、気軽にご相談していただければと思います。

話は脱線してしまいますが最後に、山根先生はご自身のお子さんにはどんなふうに成長していってほしいという思いで寄り添っていますか。

そうですね、僕は、前回もお話しましたように、親のおかげでやりたいように好きなように生きさせてもらいました。僕も、自分の子どもには基本的にやりたいことをやって生きていってほしいです。僕はただそれを見守っているだけですね。ただ一つ親のエゴを言わせてもらうなら、お勉強なんてどうでもいいので、何でもいいから団体スポーツをやって、スポーツを楽しみスポーツを通じて周りの友人のこと、支えてくれている人のことを思える子どもになって、そして沢山の友人に囲まれて生きていってほしいです。僕自身も子どもの頃からの友人こそが生きていく上での何よりの財産だと思っているからです。

以上

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