弁護士という職業[中編](弁護士 中山隆弘)

弁護士という職業
[中編]

良く言えばそれほど真剣だったということですね。で、中山先生は無事法科大学院に進学されたわけですが、確か未修者コースと既修者コースがありますよね。

はい。私は2年間の既修者コースでした。未修者コースは3年間です。

法科大学院ではどのような勉強をするのですか。

大学院によってカリキュラムは異なるのですが、自分の通っていた大学院では、新司法試験のための勉強はほぼしてくれませんでした。試験に受かって実務に出た後のことを見据えたカリキュラムということで、実践的な内容が多かったと思います。
あと人数が少ない大学院だったので、それぞれの授業の内容はかなり濃くて、事前の準備もかなり大変でした。毎回、相当な数の文献、判例やその評釈を調査して、細部まで読み込んでいかなければならなかったりとか…、まぁそれがまさに今の仕事に活きているわけですが。

法科大学院ではどのくらい勉強をするのですか。

授業の時以外は行き帰りの電車の中も含めて基本的に勉強で、新司法試験の直前何か月かは寝る時以外は全て勉強してました。でもこれはみんなそうだったんじゃないですかね。

弁護士 中山隆弘 インタビュー写真

法科大学院を卒業すると、その年から新司法試験を受ける資格が与えられるということですが、いかがでしたか。

正直二度と受けたくないです(笑)。というのも、中1日の休みを入れて5日間の試験日程で、周りは全員法科大学院で何年もみっちり勉強してきた人たちですし、知り合いもあまり見当たらない中で、…僕は五反田の会場近くのホテルに宿泊してたんですが、そのホテルとの行き帰りだけで毎日本当に息が詰まりそうでした(笑)

科目はどのような内容なんですか。

まずは基本六法…憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法に加え、行政法です。これらは公法系、民事系、刑事系という分類をされていました。あと選択科目として私は租税法を選択しました。

さて、中山先生はその新司法試験に無事合格して司法修習に行ったわけですが、司法修習ではどんなことをするのですか。

まずは、実務修習といって、それぞれの修習生が全国の地方裁判所に配属されて、そこを基盤に、裁判所では民事裁判修習と刑事裁判修習、検察庁では検察修習、弁護士事務所では弁護修習を行います。
具体的には、民事裁判修習や刑事裁判修習では、普段は裁判官室にいて、判決の起案の練習や裁判の立ち会いを、検察修習では実際の被疑者の取り調べ等を、弁護修習では担当の弁護士の法律相談・裁判等への同行、訴状や準備書面の起案の練習とかを行うことになります。
その後、集合修習といって、埼玉県和光市の司法研修所で、色々な書面の起案などの座学を行います。そのときは私は研修所のいずみ寮という寮に入っていました。
そして、最後に二回試験という卒業試験に受かれば、晴れて実務家になることができます。

相談写真

何か思い出はありますか。

何もかもが初めてだったので、本当に色々な思い出ばかりです。それまで本の中でしか触れてこなかった世界が目の前に広がってるわけですから。…法廷で裁判官席に座らせてもらったり、裁判官室で無謀にも裁判官達に議論を挑んだり、検察庁で実際に被疑者の取り調べをしたり、警察に捜査の指揮をしたり、司法解剖に立ち会ったり…。指導担当の弁護士と一緒に初めて警察の接見室に入ったときは本当に嬉しかったです。それに修習仲間というのは独特の絆というか連帯感があるので、仲間との日々の暮らしも楽しかったです。毎晩夕食を食べに行ける行きつけのアットホームなお店もあって…一人暮らしを始めたというのも大きかったと思います。
あと、自分はそれまで社会人経験がなかったのですが、周りの修習生がほとんど年上という環境だったこともあって、この時期に社会人としての礼儀やマナーを身につけられた気がします。法科大学院でも年上の方は多かったですが、あの頃は単に勉強漬けだったので。

先ほど仰っていた二回試験というのはどのような試験なんですか?

正式には司法修習生考試という名前だったと思いますが、事件記録一式を渡されて、民事裁判と刑事裁判では事実認定等の起案を、検察では終局処分等の起案を、民事弁護と刑事弁護では最終準備書面等の起案を行います。1日1科目で朝から夕方まで本当にぶっ続けで、お昼も試験中に食べながら、5日間かけて行われるんですが、これも司法試験と同じく二度と受けたくありません(笑)。ただまぁ私としては、こういうハードな試験を課すことには、実務家になった後の強力なストレスにも耐えられるかどうかの、いわば精神忍耐力テストとしての意味があるんじゃないかなと思ってます(笑)

後編へ続く・・・

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