刑事事件における弁護士の役割[前編](弁護士 内田和利)

刑事事件における弁護士の役割
[前編]

新百合ヶ丘総合法律事務所は、一般民事事件、家事事件、刑事事件等、色々な事件を総合的に取り扱っているわけですが、内田先生個人としては、とりわけ刑事事件に強い思い入れがあるという印象があります。
そこで、今回は、内田先生に、刑事事件における弁護士の仕事であるとか、やりがいについてお話をお聞きしたいと思います。
そもそも刑事事件における弁護士の役割というのはどういったものなのですか?

まずは被疑者・被告人の利益を最大限守っていくということが、刑事事件における弁護士としての役割として一番重要だと思います。

被疑者・被告人というのは、要は罪を犯したのではないかと疑われている人達ですが、罪を犯すということ自体について、先生はどうお考えですか?というのも、罪を犯すということは当然やってはいけないことで、そういう方たちを守るというのは、単純には理解できない部分があると思うのですが。

犯罪自体はやってはならないことで、憎むべきことですが、犯罪をした人については、そこだけを切り取るのではなくて、色々な事情があってそうなってしまった、いろいろな経緯がありますし、実際には犯罪を起こすには至っていなくても、その原因というか歯車が狂えば、だれでも犯罪をしてしまう、そういう潜在的な可能性は持っているのではないかと。実際犯罪を起こしてしまった人だけが悪い存在で憎むべきものであるとは思っていないです。

裁判所写真

刑事弁護人としては、どういった仕事をするのですか?

大きく分けて2段階に分かれますが、裁判になる前の捜査されている段階、それから捜査が終わって起訴して裁判になった、舞台が裁判所に移ってからの段階があります。
まず捜査段階、起訴される前の段階については、犯罪をしたのを認めるのであれば、なぜしてしまったのか、動機、犯罪をしてしまうまでの経緯、そういったところを本人に、警察署に捕まっていれば面会に行くなどして聞き取りをして、それを本人に代わって警察官や検察官に事情を説明しに行き、理解してもらって、最終的には起訴されない方向に働きかけていくというところにつなげていくということになります。

具体的には、どのような活動をするのですか?

まず、一番の出発点は、本人の言い分なので、まずは本人に会いに行って話を聞くというところから出発すると。まず弁護人になったら、できるだけ早い段階で本人の所で話を聞くというのが大切かなというふうに思います。

その点について、国選弁護人だとぜんぜん接見に来ないけれど、私選だときてくれるから私選にした方がいいのではないかということが、ネットなどには当然のように書かれていますが、先生の場合は、なにかその点について使い分けていますか?

使い分けはしていないです。国選でも私選でもあまり変わらない。話を聞きに行って、いきなり行って全部話してくれる人なんていないですし、良く知らない人がきて信頼して話をしてくれるわけはないので、何回も行って、ある程度、この人であれば話をしてもいいかなと思ってもらえないと、十分に話も聞けないし、どうしてこんなことしてしまったのかということを弁護人自身もきけないので、まず信頼関係を築けるように、極力行けるときは行くようにしています。

相談写真

夜遅くに行くこともあるんですか?

本人にとって迷惑だったかもしれませんが、0時過ぎもありました。

朝早いときは?

7時くらいですかね。

そうやって被疑者・被告人との関係を築いたうえで、警察・検察と戦っていくことになるかと思うのですが、今までに警察・検察と戦った具体的なエピソードはありますか?

本人から話を聞いていくと、疑われていることに対して、それをやったのかどうかというのはそうですが、それ以外に、警察署まで連れてくるまでの間とか、連れてこられた後、入ってからの間の事とかのことについてもいろいろ話をきく。そうすると、つれてくるまでの間で、警察官のほうで、熱意があるせいなのか、行き過ぎてしまっているように見えることがなされたり、あるいは捕まった後も行き過ぎてしまったりするんです、取り調べなり留置所での扱いであったり。そういうことも多々あります。
その時に弁護人のもうひとつの役割として、おかしな部分はおかしいぞと言って、捜査あるいは留置所内での留置を適正化させるというのも弁護人としてのおおきな役割の一つなので、おかしなところがあれば、きちんと抗議すべきところは抗議をするということは必要であると。口頭でもいいですが、私の場合はきちんと抗議する場合は、私の場合は、その日ないしは翌日くらいには抗議書を送るようにしています。

その結果改善されることはありますか?

あります。抗議書を送った後に、次に面会・接見に行ったときに、だいぶ扱いが変わりましたということも結構あります。

被害者側との交渉をしたりもするのですか?

はい、します。被害者側との交渉も刑事事件における弁護人の役割の1つですね。被害者側と交渉し、示談の成立に向けて活動いたします。

弁護士 内田和利 インタビュー写真

それも弁護人の重要な役割だということですね。その後起訴されて裁判の段階になった場合にどういった活動をされるようになりますか?

認めている事件と認めていない事件によって大きく変わってきますが、認めてない事件に関しては当然無罪という判決を裁判所にしてもらうべく、検察官が有罪だと言ってきているさまざまな証拠を出してきていますが、その一つ一つの証拠について、本当に証拠として認められるものなのか、証拠としてどれほどの価値があるものなのか、というところを本人とも相談しながらよく吟味して、証拠として認められるべきでないものは排除するなどの活動をしています。
その上で被告人としての言い分をできるだけ裏付けられる部分を捜して、証拠と共に裁判官に理解してもらえるように活動しています。認めている事件に関しては、被害者がいるかいないか、たとえば怪我をさせてしまったなどの場合であれば、被害者の被害が回復されているかどうかというところも、刑罰の重さを決める時の大きな事情の一つなので、そこをきちんと示談交渉して、これは起訴される間の段階でできていれば理想的ですが、もし間に合わなかったとしても、判決がなされるまでの間に示談交渉して示談をえらべるように努めていくという活動も必要です。
薬物犯罪など被害者がいないような事件・犯罪の場合などでは、とりわけ生活環境あるいは人間関係などが、そういう犯罪にかりたたせている大きな原因であったりしますので、そういった家庭環境なり、人間関係の状態なりをどういうふうに改善していくのかを調整していくのも弁護人の役割の一つではないかと思います。

後編へ続く・・・

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